二次障害の理解と支援

生理学的に非常に集中しにくい子どもの「生きづらさ」を理解していく

①発達障害とは

②武田先生(和歌山大学)の腕時計型小型高感度加速度センサー(マイクロミニ型アクティグラフ)による研究からわかること

③エネルギーの2つの向きとひきこもり・不登校

発達障害とは

発達障害とは中枢神経系の高次機能の障害が発達期に生じているものをいいます。基本的には非進行形であり、合併症がない限り、障害自体は悪化していくことはないものです。

しかし、状態像としては成長するとともに、不登校などの不適応状態を呈することが多いです。その理由は発達障害のある人と周囲の人々、すなわち環境要因との相互作用の中で失敗体験が多くなり、それらの経験が心の傷となって残るからです。

不登校・ひきこもりの4人に1人が発達障害であるということが最近の調査で明らかになっています。それだけ発達障害の子どもたち、人たちにとって、日本の社会・日本の学校で生きていくことは生きづらいことであるということになります。

よく頑張ってると思うよホントに…

実験からわかること

和歌山大学教授の武田鉄郎先生の実験です。武田先生は腕時計型小型高感度加速度センサー(マイクロミニ型アクティグラフ)による研究をされています。NASAの宇宙飛行士がしているそうです。似ていますが万歩計とは違います。1秒間に10回、1分間に600回の体動を計測します。

体動とは、体の動きです。頭を動かしてもいいし、足でもいいですが、からだのどこかが動いているとカウントされる精密機器です。

ここで問題です。Aくん(自閉症スペクトラム)に24時間この機械をつけてもらって計測した結果はどうなったでしょうか。

①からだの動きが24時間ずっと一定であった
②寝ているときもずっと動いていた
③昼間は静止、夜間は激しく動くという2極化であった

答えは
②寝ているときもずっと動いていた
だったのです。

寝ていると思われる時間でも頻繁に身体活動が見られ、熟睡できていませんでした。定型発達の人は起きているときの平均身体活動量は220回/分くらいだと言われています。人間は、集中すると体動が下がるものですが、発達障害のあるお子さんの場合は定型発達のお子さんと比較して1.3倍とか1.5倍くらい1分間に体を動かしていました。つまり生理学的にこれだけ動いているのですかから非常に集中しにくいような状態であることがわかりました。

そりゃ集中しにくいよね

だからこそ、彼らの興味・関心のあるものを教材にしながら学習を進めていく必要があるのです。あの子たちがわがまままで自分勝手だから多動になっているわけではないのです。
この視点は大切です。生理学的に見ても非常に集中しにくい子どもであるという捉え方で彼らの「生きづらさ」を理解していく必要があると思います。

外へのエネルギー・内へのエネルギー

行動上の問題は反社会的行動と非社会的行動とに分類できます。反社会的行動はいわゆる外にエネルギーが向くものですね。攻撃行動・非行行動・いじめ・他者の行動を妨害するなどです。非社会的行動は内向きエネルギー。常同行動・選択性緘黙・抜毛・拒食・過度の不安・緊張・恐怖などの情緒不安定・不登校・引きこもりなどでしょうか。

不登校は、分類上は非社会的行動ですが、実は家庭内で暴れる子もしばしば見られますので反社会的行動の側面もあります。ただし攻撃対象は家族に限定されることがほとんどです。他人が家に入るとおとなしくなるケースが多いのです。

発達障害と不登校の問題は二次障害が顕著に現れるまでの時間経過(幼児期・学童期・思春期・青年期)の中でひどく傷ついた生々しい体験が発達障害の特性と混合された状態で不登校という状態像で現れていると言えます。時間経過の途中で出会った外傷的な経験や対人関係の結果、自分を守るために引きこもるようになったものであると言えると思います。

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