DSM-5

DSM-5では「発達障害」は「神経発達障害」でしたね

DSMについて

今日からDSM-5について思うところを書きます。以前は診断名を出してそれで終わり・・・の病院が多かったのですが、今は、「だからどうしたらいいの?」というところまで一緒に考えてくれるところも増えてきました。

・・・でもこれが高じて、「診断名なんてどうでもいい。」「支援さえしっかりしていたら大丈夫」と単純に考えてしまわれる保護者が増えました。診断を出す出さない以前に、診断基準そのものをちゃんと知っておくことは子ども理解への大きなヒントになると思っています。きちんと発達を診れるお医者様が圧倒的に少ない現実がありますので、診断の時期は信頼できるお医者様との出会いのタイミングもあるでしょうね。

Ⅴでなくて5なのは…

DSM-5は、2013年5月に、米国精神医学会総会にて新しい診断基準として承認されたものです。Ⅴではなくて、5・・・・というところがミソで、たぶん、5.1、5,2・・・と改定また改定・・・で、くるのではないかと思っています。

アメリカという一つの国の、ひとつの学会が基準改定しただけなのですが、精神医学の世界ではアメリカはとてつもない大きな影響力を持つのです。たぶん世界保健機関(WHO)が出している国際疾病分類(ICD-11)にも今回の改定が反映されると思います。

発達障害→神経発達障害へ

DSM-Ⅳまでは児童や青年期用に、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」という大項目があったのですがDSM-5では、それがきれいさっぱりなくなりまして、そして、これまであった「発達障害」は、「神経発達障害neurodevelopmental disorders)」と名称を変えて再登場しました。

ここに入らない児童や青年の疾患は、他のさまざまなカテゴリーの中に散らばって分類されていきました。大きく変わったところといえば、これまで、「AD/HDと破壊行動グループ」という行動障害群に分類されていた「AD/HD(注意欠陥/多動性障害)」が、発達障害群である「神経発達障害(neurodevelopmental disorders)」のグループに入ったことでしょう。

これはAD/HDは、神経発達障害であるということを意味します。もちろんAD/HDの出す症状には、反抗挑戦性障害と行為障害とともに、破壊的行為障害の側面を感じます。しかし、DSM-5では、AD/HDの発達障害としての側面を、より重要視したということでしょう。個人的にもAD/HDへの対応には発達障害の視点が必要と思っていたので、今回の改定には大いに納得できます。

AD/HDについて

DSM-5の、AD/HDの改定部分について書きます。これまでのDSM-Ⅳ‐TRでは「広汎性発達障害の診断が下されているときにはAD/HDとしての診断はできない」という規定になっていました。つまり、ASD(自閉症スペクトラム)のほうが、AD/HDより上位だった(あくまで過去形ですよ)わけですね。

(「広汎性発達障害(PDD)」や「アスペルガー障害」という下位分類が廃止されたので、いずれはこれらの診断名も過去のものになるかもしれませんね。)

DSM-5では、ASD(自閉症スペクトラム)とAD/HDの併存を特定用語として記載することになりました。より子どもの実態に近くなりますので、最初の診断名からも子どもを理解しやすくなります。ありがたいことです。

ラボ子
ラボ子
ASDとAD/HDの併存記載が可能になると子ども理解がぐっと進みますね

 

大きな変更点としては、症状発現年齢が7歳以前から12歳以前に引き上げられたこと17歳以上の場合では、診断基準の下位項目を5項目満たせばオッケーになったこと(ちょっと緩くなったかな)あと、重症度分類が入ったことでしょうか。と、こんな感じで診断基準が変わりました。

今後は、学校でもASDとAD/HDの両方の診断名を持つ子どもとたくさん出会うことになると思います。でも、大事なことは診断名ではなく目の前の子ども自身をしっかり見ることかなと思っています。今回の改定は、支援を必要としている状態がよりクリアになるいい機会だといい方にとらえることにいたしましょう。

大事なことは診断名ではなく目の前の子ども自身をしっかり見ることですね

 

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